タクシーはお客様を乗せて目的地までお送りする運送業であり、なおかつ快適な空間を提供する接客業です。同じように、お客様を乗せて接客する仕事にハイヤーがあります。
今回はタクシーとハイヤーについて、業務形態や年収の違いをご紹介します。
ハイヤーとは
タクシーとハイヤーに法律上の違いはなく、ハイヤーはタクシーの一種として位置づけられています。ただし、ハイヤーはタクシーよりも上質な接客が求められる仕事です。
ハイヤーのドライバーは不特定多数のお客様を乗せるタクシーと比べて、特定のお客様ひとりひとりと深く関わることの多いサービスと言えるでしょう。利用者の多くは企業経営者などのエグゼクティブや海外からの観光客が中心で、主に会社や空港までの送迎、ビジネスなどで利用されています。
また、タクシーとハイヤーは外観でも大きな違いがあります。タクシーはセダンやミニバン、クルマのカラーはさまざまですが、ハイヤーに利用されるクルマは主にベンツやBMWなどの黒塗りの高級セダンで、タクシーの特長である屋根上の行灯、メーター、窓の運賃表示がありません。外観の違いはタクシーとハイヤーの業務形態の違いを反映しています。
タクシーとハイヤーの業務形態の違い
タクシーには運賃メーターがついており、お客様の乗車から降車までの距離や時間で運賃が発生する営業形態です。
駅前や空港前のタクシー乗り場でお客様を待ったり、人通りの多い道を流したりして、比較的ドライバーの自由に営業することができます。営業時間も1日に19時間~21時間と長く、ドライバーの頑張り次第で売上を大きく伸ばすことができる点がタクシーの魅力でもあります。
一方、ハイヤーは基本的に予約制ですので、タクシーのように流し営業を行わず、運賃メーターも設置されていません。ハイヤーのドライバーは営業所に出勤し、クルマに乗り込んで予約のあるお客様のご自宅にお迎えに行きます。タクシーはお客様の乗車から降車までが運送契約となっていますが、ハイヤーは乗車中の区間だけでなく、その前後も課金対象となるため、タクシーよりも「貸し切り」の要素が強いサービスです。ハイヤーには「走る高級ホテル」「移動するオフィス」とも言うべき格式が高く、上質な接客が求められます。
タクシーとハイヤーの就職の違い
タクシーもハイヤーも、営業するために2種免許の取得が求められる点は同じですが、多くの場合、採用後すぐにハイヤーのドライバーに任命されることはありません。まずはタクシードライバーとして、営業や接客など数年間の業務経験を積むことが求められます。
ただし、タクシー・ハイヤーの会社によっては、タクシー未経験でもハイヤードライバーに就職できるところもあるようです。
タクシーとハイヤーの年収の違い
タクシーとハイヤーは、そもそもの給与体系が異なります。
タクシーは完全歩合制、あるいは固定給+歩合制というように、ドライバーの頑張りに応じて給与が上がるシステムとなっています。タクシードライバーの平均年収は全国で316万円、東京では442万円です。ただし、頑張り次第では年収500万円、600万円を超えることもあります。
一方、ハイヤーは予約をいただいている特定のお客様を乗せる仕事ですので、基本的に歩合制ではなく固定給です。そのかわりタクシーよりも基本給が高く設定されており、ハイヤーのドライバーの年収は1年目で500万円を超えることも珍しくありません。また、ハイヤーはタクシーに比べて景気に左右される職種ではないため、比較的収入は安定しています。
ハイヤーのドライバーに向いている人は?
同じように見えるタクシーとハイヤーも、業務形態や給与体系には大きな違いがあります。
さらに、求められるスキルも両者では異なります。タクシーもハイヤーも、お客様を乗せて目的地まで安全にお送りするという点では同じですが、ハイヤーのお客様は分刻みのスケジュールをこなす会社経営者や役員などが多いため、時間に正確に送迎する運転スキル、質の高い接客スキルが求められます。
ハイヤーは基本給の高さから非常に魅力的な仕事ですが、求められるスキルをしっかりと身につけられるかどうかが、ハイヤーのドライバーとして活躍できる指針と言えます。
会社経営者や役員など、エグゼクティブと信頼関係を築き、きめ細やかなサービスをしたいという方は、ハイヤーのドライバーに挑戦してみてはいかがでしょうか?
まとめ
タクシーとハイヤー、それぞれの仕事の違いをご紹介しました。
ある程度タクシーで経験を積んでからハイヤーのドライバーに配属されるという流れがあるため、「ハイヤー>タクシー」というイメージがありますが、もちろんそんなことはありません。タクシードライバーはハイヤーよりも自由度が高く、自身のアイデアを活かして売上を伸ばせる仕事です。
転職や転属を考える際は、給与の高さや待遇の良さだけでなく、自分自身に合っている仕事かどうかという点にも注目しましょう。